duzen oder siezen?

日本語って根本が上下のパワーダイナミクスを作るbeggingな性質で文書作るのが大変。。。英語だとわっしょい一緒にやろうぜ的な煽り文句が書けるし、ドイツ語だとお互いの立場をフラットに明確に定義できる。

「スタートアップ」「ジョイントベンチャー」「バッカーコミュニティ」のマインドに、言語的についていけないというそもそもなOuch。言語がついていけないってのは、そりゃ〜ディープな問題です。伝えたい主張/スタンスが翻訳した時に喪失するんだから。

ドイツ語にも敬語的なものがあります。フランス語にもあります。「あなた、君」を指す Sie/du (D), Vous/tu (F) を使い分けます。主格名詞によって動詞は変化するから、敬語と親しい間柄の言葉で動詞の形が変わります。

どんな状況でどんな相手にSieを使うべきか、duでいいのかの判断力はコミュニケーション上、重要です。でも「duzen でいこう。」と合意すればswitchは割と簡単。なぜなら主語をduに変えれば動詞は自動的にduの活用に倣うから。

日本語の敬語はそうはいきません。「じゃ、タメ口で!」と言ったところで、呼称を苗字から名前に変えるのか、「さん」から「ちゃん」やあだ名にするのか、「です・ます」を取るのか、尊敬語や謙譲語をやめて丁寧語にするのか、話者同士の相対関係で決まる上に、心理戦も働く文法構造故にパターンは無限大。そう、心理戦がシマンテック(意味論)だけではなくグラマー(文法)に何層にも渡ってはびこっている。どの言語もそうだろうけど、日本語の重厚感は飛び抜けていると思う。

TEDxTokyo yzコミュニティでは、ある組織文化を醸成するために、年齢、社会的立場、知り合った年月の長さに関わらずファーストネームで呼び合うというグラウンドルールを創設当時からやっています。これは狙いが当たったというか予想以上の効果で、生み出したかった文化を育くむのに大きな役割を果たしています。単純に言うと、日本語文化圏にはないプロトコルを日本語コミュニケーション内に導入しました。

言語が組織文化、グループダイナミクスに与える影響は絶大なのだ。大概、私たちは言語でコミュニケーションするからね。だから「こういうワークショップメソッドがある」「こういうブレストテクニックがある」「こういう状況を作るとオープン&フラットになる」という方法論だけでなく、より根源的なマインド&行動を支配しているメディア、つまり言語=日本語の使い方にクローズアップしてみると興味深いし、やり方によっては非常に簡単かつ効果マックスな結果が得られます。

TEDxTokyoの組織論的舞台裏

TEDxTokyo という得体の知れないもの。

そのチームを繋ぐkey roleをしている得たいの知れないワタシ。

実のところ、自分がTEDxTokyoに関わるようになったのは、TEDを知っていたからでも、TEDtalksに感銘を受けていたからでもない。そもそも私が最初に出会ったのは、TEDxTokyo Co-founder の Toddと、まだまったく形がなかったTEDxTokyoという概念だった。それから、「母体がアメリカ西海岸発祥のTEDってものなんだよ。」と彼に教えてもらった。

じゃあ、どうしてTEDxTokyoをやることになったのかというと、純粋に「組織論の実験場」になる♪(* ̄ー ̄)v!!!という思いからだった。なんとも応用(人文)科学系院生活終了間もなかった(と言っても1年経過していたけど)人らしい発想。

以前ブログにも書いたように、私は、現行の西洋哲学に裏打ちされたパラダイムから端を発する「組織学」とは違った組織論がすでに展開されつつあると感じていたし、さらに押し進めた新しい形の組織を創ってみたいという欲求があった。「TEDxTokyoでそれが試せる!」というシグナルが、私をそこに飛び込ませた。

Toddとの出会いから1ヶ月後、当時スタンフォードより日本の大学にteaching exchangeで滞在していたカーラと一緒に、チームをスクラッチから作っていくという任務を遂行することとなった。Toddの家にあった何千という名刺の山と、彼がコツコツと貯めたプロフィールデータを1つ1つ整理し始め、連絡を取り、小さいイベントを開催し、徐々に黎明期コアチームを築いていった。それから2年半。私のTEDxTokyoチームデザインとコミュニティビルディングは終らない。

なんと言っても、十人十色な個々人が集まってボランティアベースでチームを作るのは大変。しかも、TEDxTokyoという蜜に吸い寄せられる蜂や蝶は一筋縄ではいかないキャラ立ち揃い。この人たちと信頼関係を築き(人間的にも能力的にも)、彼らの声を丹念に聴き、そしてリーダーとして声を発し(私はリーダーでもないんだけど、リーダーシップは発揮してる。リーダーという「人」と、リーダーシップという「能力を発揮する人」は別ものなんだと思う。)、それに耳を傾けてもらえるようになるには、love and care and persistence が必要。

具体的にどんなスキルセットが必要か、最近見えてきたので領域別に書いてみると、

  • 愛と信頼を育むコミュニケーション力
  • 組織デザイン力
  • 人のマネージメント力
  • 人の育成力
  • プロジェクト/タスク・マネージメント力
  • プロジェクト・ファシリテーション力
って感じでしょうか。

上記をさらにブレークダウンすることができるけど、それは次回に置いておく。

多くのリーダーに不足しているのは組織デザイン力。不足しているというより、そもそもその視点がないので、competency を伸ばしようがない。

Beware! なのは、プロジェクト・マネージメント力とヒューマンリソースマネージメント力はまったく違ったものだということ。前者ができると後者もできると思い込みがちだが、後者が抜け落ちている場合が少なくない。契約に基づき、明確な役職、責任、インセンティブが設定されている従来の組織であれば、プロマネ力だけでも力技で進んだりするんだけど、ボランティアベースで繋がり方がまったく違う組織内では、この両方を併せもっていることが特に大事で、片方だけが得意な人がリーダーになる場合は、別の人とツートップにして補完すること。あるいは、ヒューマンリソースマネージメント系を組織横断的に見ていくチームを別個作る(多くの会社組織はこれ)。ただ、ボランティアベースの場合にこのやり方をすると、組織が拡大すればするほど重荷になってしまうから、うまいハイブリッドポイントを見つける必要あり。

もう1つ鍵になるのは、マネージメント力(中央管理/監督)とファシリテーション力(自治を与えてエンパワメント)の二刀流であること。前者だけだとガチガチの組織風土になって結局コーポレートの二の舞になり、「じゃあなんでボランティアなの?」みたいなそもそも論になるし、後者だけだと、よくある情熱ありきで物事決まらない進まないの大混乱になる。TEDxTokyo に集まる人は基本、超高速なので、スピーディーかつリズミカルに結果を出していくプロセスデザインをしないと中だるみになる。あとは、アウトプット量が莫大なので速くないと追いつかないってのがそもそもある。今更言うまでもないけど、どんなものを生み出す(製造/生成)組織かで、集まる人も変わるし、組織文化も変わっていく。

In any cases, リーダーに必要不可欠!なものとして絞り込むならば、

  • 愛と信頼を育むコミュニケーション力
  • 組織デザイン力
  • 人の育成力
  • プロジェクト・ファシリテーション力

の4つかな〜。

人のマネージメントと、プロジェクト/タスクマネージメントは、チームメンバーに任せていい。

リーダーは火や風っぽい人が主流だしパワフルだけど、水や土っぽい人もいい気がするんだよねー。(すごい抽象論に一気にすっ飛びました。)全部の要素があればベストだけど、これからは後者のニーズが増えるのでは。

話を戻して、忘れてはならないこと。

TEDxTokyoという得体の知れない組織が、得体の知れないアウトプットを世に送り出し成功し出している秘訣は、TEDのプラットフォームとそこが提供するプログラムをうまい具合に有効活用してること。揺るがぬ哲学と世界観がある。TEDx ライセンサーは、そこを創る必要はもうない。(これが足枷になることもあるが。)

TEDにとっても、TEDxというスキームがなければ自らの哲学を実践に落とし込むことができないので、見事な相互依存ができている。TEDx 組織はTEDに依っているし、その逆もまた然り。自然の生態系に見られる共生によく似ている。これがTEDという新しい組織モデルの旨味。(注:TEDの組織モデルと、各TEDx の組織モデルは共通点はあるがまったく異なるもの。TEDは材料の一部と足場を用意してくれているけれど、実際に土を掘り起こし、土台を固め、設計図を引き、組み立てていくのはローカルのTEDx のリーダーの理念に依る。TEDは木の幹であり、枝葉がどのような形でどのようにして伸びていくかは太陽や水任せ、という感じ。)

そして、TEDxTokyoの成功の一翼は、明確なリーダー、Co-founders の Todd & Patrick の存在。なにより、彼等は信頼され愛されている。ここが1番大事。「まー、しょーがねーからついてってやるか!」と「うわ、この人まじヤヴァイ、やっぱすげーな!」を両方味わえる旨味度が高いリーダー。ちなみにPatrickは火と風を両方持ってて、それだけでも素晴らしいのだけど(普通は火だけとか風だけ)、Toddが土っぽいので絶妙なカップリング。たまに、火が燃え移って地面も火柱上げてるけど(笑)。そこに今度は風が吹いて、火が消し止められる。

これからの組織は、誰でもがリーダーシップを取るエンパワメント型、組織構造はネットワーク型で、collaborative なやり方がますますトレンドになる。しかし、それでも大きなビジョンを打ち出す/まとめるリーダーシップは要る。テントを立てるには、どんな形にしろ、ポールの本数や力点の数は変われど、支点が肝になる。支点って、どっか上の方に飛び出てるもんじゃないんだよね。リーダーも一緒。前に出て引っぱっているだけがリーダーではない。力学の問題と組織論は似ているかもしれない。

ワークショップのデザイン

先週木曜日に行なわれた green drinks へゲストスピーカーの1人として呼んでいただきました。テーマはこのブログエントリーと同じ「ワークショップのデザイン」。「ワークショップ的なデザインの仕方でプロジェクトを回す例」としてTEDxTokyoTEDxTokyo yz の “how” の部分をかいつまんで話しました。

モデレーターのYoshから事前にもらっていた質問は3つ。それに対して3つのグラフィックを描きました。

(1)コミュニケーションプロセスデザインって何ですか?

コミュニケーション、プロセス、デザインとは、

「自分のやりたいことを3つのキーワードで表現したらどうなる?」

と問われたら答えとなるエッセンスです。それを繋げて自分の職業名にしただけ。こういう分野や職業がもともとあったわけではなく、ロールモデルがいるわけでもなく。想い描くままにアイディアを形にしている段階です。仕事を始めた頃は、経験も何もない自分が「コミュニケーションプロセスデザイナー」と名乗る自信がありませんでしたし、言ったところでわかってもらえないだろうなぁという不安もあった。だから、「組織開発系コンサルタントです」とか「戦略人材育成やっています」とか「異文化コミュニケーションのトレーニングします」とか「キャリアカウンセリングしてます」とか、聴き手がわかる既存の言葉をとっかえひっかえ使って説明していました。

でも、4ヶ月くらいが経った時に

「言っちゃったもん勝ちじゃない?」

とはたと気づき、コミュニケーションプロセスデザイナーと名乗り出すようになりました。こちらが言ってしまえば、人は私のことをそう認識し、その道のプロとして扱うようになります。周りからの認識や期待に応じ、自我はそれに合わせて行動しようとするので、言ってみれば、自分の夢を叶えるために社会心理学的な他己像とアイデンティティーの関係性を逆手に取った感じです。

コミュニケーションプロセスデザイナーの詳細については別のエントリーで。

次の質問。

(2)いい空気が流れるプロジェクトメンバーを見つける秘訣は?

私がディレクターを務める TEDxTokyo、そして代表をしている TEDxTokyo yz は、「TED」というグローバルムーブメントになっている明確なブランドがあります。TEDからライセンスを取得した独立任意団体が TEDxTokyo および TEDxTokyo yz です。だから、TEDのことを知っていたり、TEDx に関わってみたいと考えている人という時点でマッチングの可能性が高い。自分たちと仲間としてやっていける人かどうかを見極めるのに、自分の組織(会社でもチームでもグループでも)のコンセプトやブランディングを明確に打ち出すことは重要です。その土壌があってこそ、その他の仕組み作りがスムーズにいきます。戦略は大きく3つ。

  1. 人的リソースを最大限活かす(例:信頼している人に「これぞ!」という人を推薦してもらう)
  2. 組織デザイン(例:求める人材を獲得するための適切なアンケートの作成;目指すものと一致した組織風土を維持;組織風土に合った日々の活動プロセスや意思決定方法を選択;これを常に振り返り、改善/調整していく)
  3. コミュニケーション力(例:メールベースで信頼を構築するための文字対話のスキル)

これについても、別途さらに詳しく書こうと思ってます。

最後の質問です。

(3)多様なメンバーを同じ目的に向かって前に進めるにはどうしたらいい?

氷山のモデルを拝借してみました。人間が意識している部分は海面に出ている氷山の一角のようにほんの少しで、氷山のほとんどが海中に隠れているように、無意識と言われる茫洋たる領域があることを説明するモデルです。

これは組織デザインやワークショップデザインにも言えることだと思います。「私たちチームのビジョンはほにゃほにゃです」「今年のうちの会社の目標ははにゃはにゃです」と明文化されたものは意識の上にあるので氷山の見えてる部分。

次にそれらを達成するために起こしている実際のアクションがありますが、それは海面と海中両方にまたがります。つまり、意識できている部分もあるし、無意識になってしまっている行動もたくさんある。

そして、組織に所属するメンバー1人1人のニーズがあります。ここが一番意識されにくい。チームやグループの結成当初は、志を同じくして集まったと信じる人たちですが、いざ目標に向かってタスクを毎日こなすようになると、その方法論の違い、目標をどう解釈するかの違い、目標に対する情熱の違いなどが明るみになります。メンバー個々人がそれぞれ満足し、得たいと願うものを獲得しながら一つの組織としてのビジョンも追いかけていくには、日常的に微調整を図っていくことが不可欠。私のやり方は、細やかなコミュニケーションを取り続けることに尽きます。

これら3つのポイントは、ワークショップという一見「単発」のもの(長くても3〜7日間)をデザインするのにも共通して言えることです。

  • 何を目的としたワークショップで、
  • 誰に参加して欲しいかというコンセプトを明確にし、
  • 参加して欲しい人にちゃんとアピールするようなブランディングをし、
  • 参加者ターゲット層と、達成したい目的に沿ってプログラム全体の流れをデザインします。「ストーリー作り」をしましょう。
  • 徐々に細部に目を向けて、目標着地点に降りられるような最適なメソッドを選んでいきます。(体を動かすアイスブレーカー?ペアワークがいい?自然に出て行く?ワールドカフェ?フューチャーサーチ?独自のを作る?)
  • ワークショップをデザインするファシリテーター側の意図と、参加者の期待値を意識しながら、双方のニーズが満たされるようにします。双方が一致していなくても、2重の意味づけができるようにデザインすれば大丈夫。
  • ワークショップ当日に参加者の反応を観察し、その場に生まれ出る空気に合わせて変更/修正ができるように「余白」を残したプログラムにします。

ワークショップをデザインするのに、複数の人間が集まって何かをする時に一体どんなことが起こりうるか、人間の反応や組織の発達段階についての基礎知識を持っていると、とても助けになります。理論だけじゃどうにもならないのだけど、現場を見ていて不思議に思った人たちが研究して理論が生まれるので、現場にいる人たちは学者が作ってくれた知識をまた現場に戻して活用してあげるのが大事と思います。組織論や社会心理学、臨床心理学、文化人類学などを応用する場がワークショップデザイン!

フリーランスになったきっかけ

会社勤めの経験がないまま、学生からいきなりフリーランスになることは珍しいとよく言われます。どうしてこういう道を選んだのか、何が決め手になったのか、不安はなかったか、色々な質問を受けることが増えてきました。答えているうちに、いくつかの判断材料が見えてきたので書いてみることにします。

背景として、中高時代からずっと留学したいと思っていました。最初は大学在学中に1年交換留学と思ったけれど、いざ大学に入るとおもしろかったから、これを1年削るのはもったえないなと。日本の大学にいるからこそ得られる優位点は山ほどあったのでそれを満喫したいと思いました。さらに、大学3年になって徐々に自分の得意分野(心理学を使ったなにか)が見えてくると、学部生中に1年留学するだけでは自分が修めたい学問をすることは無理だと気づきます。じゃ、まずは4年きっちりやって卒業しちゃおう。

代わりに、就職活動期になって大学院留学の意志を固めました。主な動機は至極単純。

「大学で学んだことを直接使って食べていける仕事をしたい」

でした。

要は、好きなことだけして生きていきたかった。

そのためには、好きなことを追究しないといけない。仕事的な感じで言い換えれば、専門性を高めないといけない。専門性を高めるならば「好き」だけでなく、自分の生まれながらの性質に合っていて自然にできることがいい。それが私にとっては、心理学系のなにか、でした。

卒業後1年半ほどは日本でのらりくらりとし、それから渡米します。学校選びから院受験まで現地で行い、渡米後2年して大学院に入ります。修士とその後のトレーニングでさらに3年。計5年アメリカで過ごします。

日本への帰国は突然決まり、まっさらな状態でした。アメリカでの就業経験ゼロ。日本での社会人経験もゼロ。ネットワークはまるでなし。おまけに「そんな分野は日本にあるの?」と言われるような仕事だったので、一体どうやって働き始めるのか、雲を掴むようなもの。就職すべきかフリーランスでいくか、どちらも魅力的でどっちがいいのかさっぱりわからない。ヘッドハンターに会ったり、アメリカ時代のメンターに相談したり、親友や兄貴姉貴分たちの考えを聞いたり、模索が始まりました。当然アドバイスを与える側も「まずは組織に入らないと」という人と、「専門性を活かして自分で何かやった方がいいと思う」という2派に別れます。

なので、企業に就職する線とフリーランスで進む線の両方を同時並行で進めていきました。文字通り唯一のコンタクト(頼みの綱!)であった、院生時代に研究のためにインタビューした都内の小さなブティックコンサルティング会社に交渉してインターンシップを始めつつ、大手リクルーティング会社や個人ヘッドハンターと正攻法の就職活動をひたすらやっていきました。日系、外資、大手、中堅、ベンチャー含め、4ヶ月で30〜40社当たったと思う。リーマンショックの起こった2008年9月から就職活動始めたという強運の持ち主(笑)。いまさら考えてみれば、踏んだり蹴ったりだったのだなぁ。でも当時は、青天の霹靂のような人生の転換と、アメリカから日本という環境の変化のおかげで、ニュースから縁遠い生活を送っていて、そういう認識が欠如していた。逆にその鈍感さがよかったのなと思います。

4ヶ月経って最終面接までいった数社も採用をクローズし、「ふーむ。」と思って明けた2009年。とあるネットワーキングの会で、私がフリーランスの道をさくっと最終決定するきっかけが起こります。TEDxTokyo の共同創始者の1人、Todd Porterとの遭遇です。その時に彼と話した時間はおよそ10分。名刺を交換し、お互いが何をやっているか、それはそれは抽象的な話をし、「何か一緒にできるかもしれないね。」で終了。

でも、私の動物的嗅覚が働き、帰宅後すぐにメールして1週間後にランチミーティングをしました。さらに数日後には彼の家に集まり、TEDxTokyo の目指す大きなビジョンに向けてのブレインストーミングと、カンファレンスに向けてオペレーションチームを育てるというタスクに取りかかりました。

そして、就職活動をパタッとやめたという次第。

そこからは自然発生的に流れるままに、いただく仕事を受けて今に至ります。

人生のターニングポイントにおける決断は、直感に従う。これに尽きる!

ただ、その時の直観だけではなく、やはり過去から今、未来へと向かう時間という歴史的要素(=私の場合は中高時代から感じていたこと、考えていたこと)が現在、何かを判断したり決定する時の源になっていることは確か。直観は、自分の奥を脈々と流れる深い河を見つけ、どんどん上流へと遡ってその水源を発見することによって、研ぎすまされていくのかもしれません。

その他にも、より実際的な判断材料がいくつかあるので列挙。

  • 自分がどういう環境でもっともハイパフォーマンスになるか、条件を考える。

私にとってのハイパフォーマンスの定義は

  1. 第一に心身ともに健康
  2. 次にモチベーション高く
  3. チームプレーをしながら
  4. 求められる以上の成果を出す

もともと臨床心理に関心が高いような人間なので、人間関係には異常に敏感で、見なくてもいいものが見えたり、気にしなくていいことを気にしすぎる傾向があります。特に、自分と誰かの関係が悪いことより、自分の所属する組織やグループ内での他メンバー同士の不和や衝突が多大なストレスになります。周りを気にする小心者の側面があって、グループとしての調和をものすごく重要視する性格。そうなると、会社勤めってストレスの塊。やりたい仕事、すべき仕事以外の要らぬしがらみが多い組織体の中でハイパフォーマンスは無理だろうな、胃腸や精神を痛めて終る可能性大だな、と思いフリーランスを選択。

  • 自分と組織との関係性を捉える。

小さい頃から一つのグループに所属せず、複数グループを渡り歩く独り癖がありました。それは今でも変わらず、一つの組織に属することに執着がないし、逆に違和感さえ覚える。いろいろな組織に同時的に属し、それを繋げていくのが自然体。だから、プロジェクトベースで動いていくノマド・ワーキングスタイルがぴったりしていました。


  • 心と体のケア。どういう環境下だと健康を維持できるか。

いい仕事をする前に、生きていくのには健康第一。心と体を大事にするのは私の責任。だから、体調が良くない時に素直に「よくないので休みます」と言える環境を作ることが絶対条件でした。ちょっとお腹痛くなる度に「やすみまーす♪」と言うわけではないのでご安心を!そりゃーもちろん、激しく体が弱ってるのにやらなきゃいけないこともあります。でも、それをやり抜いた後に、数日寝込んで回復することが許される環境、というのでしょうか。


  • どんなライフスタイルをデザインしたいか

カリフォルニアのベイエリアという地域に5年住んで帰国したので、時間と空間に対する認識に大きな変化がありました。時間がかかっても空いてる普通電車、という風に。年齢を重ねる毎に体質の変化もありました。混んでる場所では人酔いするようになってたし、夕方4時以降にカフェインを摂取すると夜眠れないようになった。平均睡眠4時間がどれだけ続いても持っていた体は、今では8時間ほど欲するように。体はどんどん正直に、私に訴えかけるようになってきていました。それに、どうして東京ではこんなに就業時間が多くないと仕事が回らないのか不可思議で仕方なかった。たまの数ヶ月に激務ならいいけれど、東京の人は年がら年中忙しくて、平日の夜に会えるのは夜8〜9時過ぎ。遅いと10時以降!そのくせバケーションもほとんどない。

「なんで???」

意味がわからないことはしなーい!ということで、混んでる時間帯に電車に乗らずに済み、自宅のある逗子でのんびり仕事をすることが可能で、タイミングさえ見計らえばしっかりバケーションを取れる、そんなライフスタイルを創っていける在り方を選びました。

  • 3年後にどこにいたいか想像する

日本に帰国する時に「3年でまた海外に出る」と決めていました。なんとなく。ほんとーになんとなく。私が社会に出た年齢は29歳。大多数の同い年と7年のキャリアギャップがあります。それだけの実りを3年間に凝縮して、海外へのステップアップを図るには、組織に入ってしまうとなかなかハードル高いだろうなーということでフリーランス。一般的に、フリーランスの方が移動/転居の選択は自由ですしね。今でも2011年末から2012年のどこかで海外に行きたいと思っています。別に具体的な案は何もありません。

こんなところだろうか。

ネットワーク作り。そこからチャンスを生み出す。

今日はサンフランシスコ・ベイエリア時代からずっとお世話になっているmentor, Kimberlyとお夕食@汐留。Kimberlyはここ数年、日本の企業に向けてグローバル・リーダーシップ・トレーニングを行なっています。彼女のプロジェクト・マネージメントについての本が日本語にもなって出ています。

Kimberlyは、もうひとりの女性コンサルタントJeanneと共に、院生だった私に大きなチャンスを与えてくれた人。見ず知らずの私をトレーナーとして雇ってくれたんです。場所や物品スポンサーもしてくれました。というわけで、そのストーリーを振り返りながら、ネットワーキング術と、ネットワークを作ったはいいけど、そこからどうやってアクションを踏むの?というtipsを少しまとめてみようかな。

Kimberlyとの出会いのきっかけはサンフランシスコ市内で行なわれたフランス商工会議所(だったけな)が主催しているinternational job fair。アメリカでのinternational job fairは、海外で働きたいアメリカ人や外国人留学生と、自国方面に戻りたいヨーロッパ留学生のためのもの。当時はアメリカにステイ or ヨーロッパかアジアにホッピング、という就職オプションだったので参加しました。

そこで行なわれていた複数のワークショップの中で興味を惹いたのがJeanneのもの。彼女はフランスで某グローバル企業のためにバーチャル(オンライン)グローバルチームのチームビルディングを担当、そのケーススタディーを紹介していました。私は大学生の時からオンラインコミュニティを育てたり、日米に分散した顔も合わせたことがない人たちをメーリングリストだけでプロジェクトマネージメントするということをやってきていたので「ビンゴ!」なテーマ。ワークショップ終了後、早速彼女に駆け寄り軽く自己紹介すると、「私もあなたに相談したいことがあるから座って話そう」と初対面にもかかわらずそう言ってきました。

話を聞いてみると、日本の研修/教育コンサルティング会社に依頼されて、グローバルリーダーシップ育成プログラムを手伝うことになり来週東京に下見に行く、ということでした。ただ、日本で仕事をしたことがないので日本のビジネス文化について知りたいから、彼女が所属するコンサルタントチームが実際に仕事を始める前に、ワークショップをやって欲しいというのです。そのチームを率いていたのがKimberlyでした。でもその後、詳細を決めるミーティングをしたのはJeanneとのみ。Kimberlyとは結局、ワークショップ当日まで会いませんでした。よくもまあ、得体の知れない会ったこともない学生を雇ったよね。これがベイエリア、シリコンバレーのベンチャー文化なんだなぁと今更ながら感心。

そんなわけで、それから2ヶ月後、KimberlyとJeanneのおかげで、アメリカを中心に世界各国で活躍する独立系コンサルタントや起業家たちにワークショップを開催しました。ワークショップ会場になったのはJeanneが住んでいた高級マンションにあるカンファレンスルーム。全面ガラスばりの大きな壁の向こうにはプールがあり、ワークショップ後は参加者と共にプールでチルアウト。こうあるべきでしょ、ビジネスワークショップ!

ネットワーキングをしてから実際のアクションに移るまでのスピードは、アメリカ人との方が日本人とよりも何百倍も速いのは確か。それは去年東京に拠点を移してから痛感しています。でも、日本でもちゃきちゃき話を進めていく人はいるので、「日本では無理」と諦めてはいけません。

というわけでポイントは

  • 自分にとってのright peopleが集まるネットワーキングの場に行く。自分と話がトントン拍子で進むタイプの相手、つまり相性のいい相手、というのがいます。そういうケミストリーが起こりそうな人が行く場所を見つけましょう。それは会場の雰囲気や自分の居心地の良さ、他の参加者の言っていることがスッと入ってくるかどうか、といった感覚的なところでわかります。「こりゃ違うな」と思ったら早々に退出。失敗イベント体験から、どんなイベントがより実りがあるか(適当にw)分析します。
  • 自分の強い関心(プロダクトやサービス、ビジネスアイディア)とネットワーキングイベントのテーマに明確な関連性があるものに行く。なんとなく興味深い、面白そうなイベントだと「いいネットワーク」は作れますが「実践的なネットワーク」に短期間で素早くなる確率は低そうです。
  • 最初の5分の会話の中で、自分がその場にいる理由(どんなネットワークが欲しくて、それを利用して何を達成したいのか。ビジネスゴールやキャリアビジョンはなにか)を言う。ネットワーキングイベントでは1人の人間と30分話し込むとは限りません。おもしろそうな人がいればいるほど、1人につき5分とか、ひどければ1分って場合もありえます。そんな数分間で鮮明な印象を残し、「あとでメールしよう」と相手に思わせるには、一言目から本題に切り込んでいくことが必須。でも、エレベーターピッチを紙に書いて練習する必要はありません。毎日、誰かに自分のやってること、やりたいことをぺらぺらしゃべっていると、ネットワーキングの場でもすらっと自分の考え、計画、ビジョンが口をついてくるようになります。
  • 初対面から10〜15分でお互いの方向性が大枠で同じだなと思ったら、1週間以内にきちんとしたミーティングを設定する。スケジューリングがうまくいかず、2週間以上空いてしまうようだったら、それは相手が自分とのミーティング=ディール・メーキングに対して低い優先順位をつけている(よっぽど企業のCレベルの人でもない限り)と考えるのが妥当。